若尾篤志 わかお あつし



アーティスト・ステートメント

現代社会で「リアリティー」は、情報と現実の間で揺らぎ、不確実なモノとして日々更新されて行きます。視点を変えれば、声高に叫ばれる多様性の価値観とは対照的に個は社会の背景として消費されて行く事に抗えず、閉塞感すら感じる事があります。

 

しかし、「リアリティー」は、人としての確かな「生」「存在」をあらためて実感する事が出来る、大切な感覚でもあります。

 

私の描く「写実絵画」は、モノを見て再現性高く描くという、非常にシンプルな表現ですが、この中に自己の心情を起点とし、社会の背景として消費されて行く「日常の断片」の中に「リアリティー」を見つける事をコンセプトにしています。

 

最近描くようになった「若い女性」は、自己の心情の他に他者の視線・心情をテーマに加えています。

 

世代の異なる人の感じ方を取り入れる事は、主観を拡張し、社会を重層的に捉えてみたいという私の新たな試みです。